Part.3 PCスペック別 点群処理スピードの比較検証
3次元測量やICT施工といった言葉がよく耳にするようになり、様々なメーカーから多くの3次元関連の製品が登場しています。3次元化を進めていくにあたって、スキャナーやドローン、ソフトウェアに注目されがちですが、同様に重要となるのが「パソコン」です!
パソコンのスペックによって、点群データの入出力、計測データの合成・解析や点群編集といった「計測後」の作業スピードが大きく左右されます。
今回のFan a tecでは、スペックが異なる3台のパソコンを用意し、点群の処理スピードがどの程度異なるのか検証してみました!
検証するパソコンは以下の3機種です。
高スペック デスクトップPC
CPU:Intel Core i9-14900KF(第14世代)
メモリ:64GB
GPU:NVIDIA GeForce RTX4060
MOUSE ノートPC
製品名:MOUSE DAIV 5P
CPU:Intel Core i7-11800H(第11世代)
メモリ:64GB
GPU:NVIDIA GeForce RTX3050
MSI ノートPC
製品名:MSI PS63 Modern 8SC
CPU:Intel Core i7-8565U(第8世代)
メモリ:16GB
GPU:NVIDIA GeForce GTX1650
それぞれのPCに取り込む点群データはこちら。
名護市内 点群データ
形式:e57ファイル
サイズ:26.1GB
スキャン数:77スキャン
総点群数:12億2649万点
点群取込(インポート)
まずは、点群の取り込み時間を検証しました。アイサンテクノロジーの点群編集ソフト「WingEarth」と点群平面図作成CAD「ANIST」に点群データを取り込みます。
「WingEarth」は、e57形式の点群取込時、点群とともに器械点のパノラマ写真を取り込む機能が直近のバージョンアップにより搭載されました。パノラマ写真を取り込むことで、パノラマ写真と点群を重ねた表現が可能となり、リアルな現場状況の把握や写真の上からトレース(図化)ができるといった特徴があります。
通常の点群取込より多少の取込時間は増えますが、今回はパノラマ写真と一緒に点群を取り込みました。
– WingEarthの詳細はこちら
– パノラマ写真取込機能の詳細はこちら
WingEarthに点群を取込(パノラマ写真も取込)
検証パソコン | 経過時間 | 時間差 |
---|---|---|
高スペック デスクトップPC | 6分57秒 | –:– |
MOUSE ノートPC | 8分45秒 | +01:48 |
MSI ノートPC | 14分15秒 | +07:18 |
次に「ANIST」に点群を取り込みます。
ANISTは、WingEarthとは異なり、点群から現況平面図作成に特化したアプリケーションです。ANIST1つで点群を描画しながら、同時に2次元の現況図面を作成できる新しいシステムです。
– ANIST(アニスト)の詳細はこちら
ANISTに点群を取込
検証パソコン | 経過時間 | 時間差 |
---|---|---|
高スペック デスクトップPC | 3分56秒 | –:– |
MOUSE ノートPC | 4分14秒 | +00:18 |
MSI ノートPC | 6分46秒 | +02:50 |
点群処理(点群をフィルタリング)
続いて、WingEarthにて点群処理時の経過時間を検証しました。検証内容は点群全体の地表面から2mより上、上部全てをフィルタリングする際の処理スピードを検証します。
点群フィルタリング(点群全体の地表面2mより上部をフィルタリング)
検証パソコン | 経過時間 | 時間差 |
---|---|---|
高スペック デスクトップPC | 4分38秒 | –:– |
MOUSE ノートPC | 5分47秒 | +01:09 |
MSI ノートPC | 9分29秒 | +04:51 |
検証を終えて
今回検証した3台中2台のノートPCは普段から弊社で点群処理に使用しているPCです。これらと比較したデスクトップPCに関しては、市販されている中でもトップクラスのスペックを搭載するPCとなっており、どの程度能力差に開きがあるのか大変参考になる検証となりました。
結果的には、スペック通りの妥当な結果が表れたなという印象です。スペック差が大きいデスクトップPCとMSIノートPCは、検証結果に大きな差があることは予想していましたが、メモリ64GBを擁するデスクトップPCとMOUSEノートPCはCPUの差で、1分半強の点群取込時間、点群フィルタリングは1分強の差が表れたのは意外な結果でした。
また、今回の3つの検証では、GPUが活躍する場面は少なかったものの、点群の操作や描画において各PCのGPUのスペック差が体感できました。特に、点群を拡大して点群が描画される(読み込まれる)までの時間がそれぞれのPCで違いが感じられ、やはり3機種のなかでも高スペックのデスクトップPCの点群操作が一番スムーズでした。 点群処理におけるGPU差をうまく比較できるような検証の機会があれば、また追記したいと思います。
本検証で使用したPCは、PCのタイプが異なり、単純比較ができるものではありませんが、CPUやメモリ、GPUの組み合わせによって処理スピードは異なってきます。(同じ価格帯で比較する場合、ノートPCよりデスクトップPCの方が高性能です。)
点群・解析処理を事務所にて行うのか、現場に持ち込んで行うのか、扱うデータの規模や予算等によって、最適なPC環境は変わってきます。
3D処理用のPCを検討する際は、今回の検証を参考いただければ幸いです!
【 第 1 弾 】コロナ禍以降 注目!! 建物の撮影から作る 歩ける住宅プレゼン
【 第 2 弾 】Matterport3Dと アドオン E57形式点群出力を試す
【 第 3 弾 】PCスペック別 点群処理スピードの比較検証